英虞湾を里海として再生に取り組む、大口秀和志摩市長
◇市民参加が大切
「真珠のふる里」として知られる志摩市の英虞湾。リアス式海岸が美しいこの 湾が、海底にヘドロが堆積(たいせき)するなど環境悪化に悲鳴をあげている。 長年にわたる真珠養殖や生活排水の流入などが原因だ。英虞湾を「里海(さとう み)」として再生させようとする取り組みが始まった。大口秀和市長に聞いた。
――フィリピンで開かれた東アジア海洋会議は。
11月末にマニラ市で開催され、東アジアの11カ国を含む世界43カ国から 1600人の参加があった。「沿岸・海洋ガバナンス」などについて議論が交わ され、「里海論」の著者の柳哲夫・九州大教授が報告したほか、志摩市関連では 、英虞湾自然再生協議会の会長を務める前川行幸・三重大大学院生物資源学研究 科教授が英虞湾の活動経緯を説明した。
――出席して印象に残ったことは。
想像以上にアジア各国が環境問題に取り組み、市民の心構え、活動には光るも のがあった。海は命の源、人類は海に敬意を払ってきたのか、改めて考えさせら れた。自治体の首長が環境の保全を前面に打ち出し、地域産業の持続的、計画的 発展に強い意志を見せていた。学ばなければ。
――英虞湾再生のキーワードは里海?
わずか26平方キロの英虞湾は、最高時160億円の養殖真珠を生みだし、水 産や観光業で多くの人たちを養ってきた。環境悪化や景気の低迷などで、活気あ る往時の面影はうせてしまったが、志摩市の活性化のため英虞湾再生は避けて通 れない。人間の手で海と陸とを一体的、総合的に保全する里海思想が必要だと痛 感した。
――これからの取り組みは。
市が合併したことによって、旧町が個々に行っていたことが総合的にできるよ うになった。これまで地域としての政策がなかったことを反省し、来年度中に湾 独自の「海の健康診断」を実施するなどして、赤潮や水質などへの基準と処方せ んを策定したい。干潟再生への取り組みなど、市民参加が大切。里海についての 理解と教養が高まるよう、長期的視野に立ち努力したい。